2016年7月号(第6号)夏に流行る風邪「夏かぜ」
【夏に流行る風邪「夏かぜ」】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。 きし内科クリニック通信 第6号を発行いたしました。
本号では、夏に流行る風邪「夏かぜ」のお話を掲載いたします。
夏かぜを起こすウイルスで代表的なものに、アデノウイルスと、エンテロウイルスがあります。どちらのウイルスも、気道分泌物からの飛沫感染、便からの接触感染を起こします。感染してから症状が出るまでの期間(潜伏期間)は3~7日間です。乳幼児の感染が多いのですが大人も感染します。感染しても何も症状が出ない(不顕性感染)場合から、軽いのどや鼻の風邪で済む場合、インフルエンザの様な高熱が出る場合、胃腸炎(下痢・嘔吐)を起こす場合まで症状の程度は様々です。症状が治った後も、のどからは7~14日、便からは30日間はウイルスを排出し続けることがあります。トイレやおむつ替え後によく手を洗うことで感染を予防できます。症状をこじらせると肺炎や無菌性髄膜炎を起こすこともあり注意が必要です。
「アデノウイルス」
アデノウイルス感染症の代表的な疾患に、咽頭結膜熱(プール熱)があります。
◎咽頭結膜熱(プール熱)
プールでうつるため、プール熱ともいいます。急な発熱、食欲不振、咽頭炎、結膜炎が主症状です。発病から改善まで1週間程度かかります。当院の迅速診断キットで診断できますが、アデノウイルスに対する特効薬はなく、解熱剤や痛み止めなどの対症療法を行います。症状消失2日後まで登校(登園)できません。
「エンテロウイルス属(コクサッキーウイルス、エコーウイルス、エンテロウイルス)」
エンテロウイルス感染症の代表的な疾患に、手足口病、ヘルパンギーナがあります。
エンテロウイルスに対する迅速診断キットや特効薬はなく、対症療法が中心となります。
◎手足口病
乳幼児やこどもでよく見られる病気です。発熱、口の中の痛み、水疱を伴った発疹が特徴です。微熱・のどの痛み・食欲不振を伴います。発熱後1~2日で口の中の痛み・発疹が出現します。発疹は手のひらや足の裏、おしりなどに出現し、痛みを伴うこともあります。症状が消失すれば登校(登園)できます。
◎ヘルパンギーナ
乳幼児やこどもでよく見られる病気です。高熱、のどの痛み、頭痛のあとに、のどの水泡が出現します。のどに水泡が何か所(平均的には4-5カ所)かでき、やがて小さな潰瘍となります。これが飲食のとき痛みます。口の中の水疱と潰瘍は、3~5日間ほど続きますが、通常は1週間以内に治ります。症状が消失すれば登校(登園)できます。
夏かぜにかからないよう、うがい・手洗いで予防しましょう。
夏かぜの症状がみられた場合は、当院にご相談ください。