きし内科クリニック通信2025年9月号(116号)【 「ダニアレルギー」の季節です。「ダニアレルギーの舌下免疫療法」 】
【「ダニアレルギー」の季節です。「ダニアレルギーの舌下免疫療法」】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。きし内科クリニック通信 第116号を発行いたしました。
本号では、「ダニアレルギー」と「ダニアレルギーの舌下免疫療法」のお話を掲載いたします。
2025年7月より、新型コロナウイルスの感染者数が再び増加に転じています(図:NHKより:通算13波目)。
JIHS(国立健康危機管理研究機構)が7月のコロナウイルスの検体を分析したところ、変異株の通称「ニンバス」とその系統が増加を続けていて、全体の8割以上を占めたと発表しました。
臨床症状は、発熱と強いのどの痛みが特徴ですが重症化リスクは高くなく、小児や若年成人が罹患してもほとんどただの風邪と見分けがつかない場合も多いようです。しかし高齢者、特に基礎疾患を持つ高齢者は重症化の恐れがあり注意が必要です。高齢者が新型コロナに罹患した場合は、重症化予防効果があると考えられる新型コロナウイルスに対する治療薬(エンシトレルビル:ゾコーバ🄬)の内服をお勧めしていますが、薬価が高く自己負担額が3割負担の方で約15000円となっています。
「ダニアレルギー」は、本邦では「スギ花粉症」の次に患者数が多いアレルギー疾患になります。特に「小児ぜんそく」「通年性アレルギー性鼻炎」「アトピー性皮膚炎」の原因の多くは、ダニアレルギーが占めているといわれています。ダニの死骸や糞の吸入や、皮膚や目への付着でダニアレルギーが引き起こされます。
「ダニアレルギー」の原因は、主に「ヤケヒョウヒダニ」と「コナヒョウヒダニ」の2種類のダニになります。ちなみに、「ハウスダストアレルギー」の原因は、「室内のほこり」です。室内のほこりには、ダニ、ペットのフケ、ゴキブリ・ガなどの昆虫、カビなどが含まれていますが、室内のほこりの中でも主なアレルギーの原因はダニであるといわれています。そのため、ハウスダストアレルギーの方はダニへの対策が非常に重要になります。ダニは夏に増殖するため、秋にダニの死骸や糞が最も多くなりハウスダストの主成分となります。吸い込むのは生きているダニではなくダニの死骸や糞のため、ダニアレルギーはダニが活発に活動する夏よりも、糞や死骸が舞う秋によりひどくなるといわれています。
夏~秋にかけて悪化するダニアレルギーの対策は、ダニが増え始める梅雨の時期から開始することが重要です。家の中の掃除も重要ですが、寝室の布団の掃除が特に重要であるといわれています。1日のうち約3分の1もの時間、布団に顔をうずめて寝ているためです。布団の丸洗い洗濯や、毎週2回程度の布団掃除機をかけることが重要です。また布団乾燥機もダニを死滅させるのに有効です。布団乾燥機を使用した後は掃除機でダニの死骸を吸い取りましょう。布団を天日干しても、生きているダニは布団の内部に潜り込んでしまうため、完全にはダニを死滅させることは出来ないといわれています。また、ダニアレルギーの他に花粉症がある方は、布団に花粉を付けて室内に持ち込んでしまうため、花粉症が悪化してしまうこともあるので注意が必要です。布団の天日干しをした後は、掃除機でダニの死骸や付着した花粉を吸い取るようにすると効果的です。また、防ダニ機能やアレルギー対策を施した布団を使用することも効果的です。
ダニアレルギー対策を十分に行っても症状がひどく、アレルギー性鼻炎を伴っている場合は、ダニアレルギー舌下免疫療法の適応になります。
ダニアレルギー舌下免疫療法とは、ダニ抗原エキスを舌の下に投与し、少しずつ体内に吸収させることで、ダニに対するアレルギー反応を弱めていく治療法です。具体的には、薬を舌の下に1分間保持してから飲み込みます。これを1日1回、約4年間行うことで、約90%の患者さんのダニによるアレルギー性鼻炎の症状が軽減するといわれています。
ダニアレルギー舌下免疫療法は、5歳以上のダニアレルギーの方に通年で開始することが出来ます。
ダニアレルギーの症状でお困りの方は、お気軽に当院にご相談ください。
2025-08-26 10:02:10