きし内科クリニック通信2025年7月号(114号)【「夏かぜ」に注意しましょう 】
【「夏かぜ」 に注意しましょう】
きし内科クリニック院長の岸 雅人です。 きし内科クリニック通信 第114号を発行いたしました。
暑い日が続きますが、皆さま体調はいかがでしょうか。夏といえば、熱中症や食中毒が気になる季節ですが、実は「夏かぜ」も意外と多いことをご存じでしょうか?本号では、「夏かぜ」のお話を掲載いたします。
夏かぜとは、夏に流行しやすいウイルス感染症の総称です。冬のかぜが「ライノウイルス」や「インフルエンザウイルス」などによるものに対し、夏かぜは主にエンテロウイルス(コクサッキーウイルス、エコーウイルスなど)やアデノウイルスが原因となります。どちらのウイルスも、気道分泌物からの飛沫感染や、便・嘔吐物からの接触感染を起こします。感染してから症状が出るまでの期間(潜伏期間)は約3~7日間です。乳幼児の感染が多いのですが大人も感染します。感染しても何も症状が出ない(不顕性感染)場合から、軽いのどや鼻や咳の風邪で済む場合、インフルエンザの様な高熱が出る場合、胃腸炎(下痢・嘔吐)や発疹、結膜炎を起こす場合まで症状の程度は様々です。症状をこじらせると肺炎やまれに激しい頭痛を伴う無菌性髄膜炎を起こすこともあり注意が必要です。
「エンテロウイルス」エンテロウイルス感染症の代表的な疾患に、手足口病、ヘルパンギーナがあります。
◎手足口病
乳幼児やこどもでよく見られる病気です。その名のとおり、手・足・口の中に発疹や水疱ができ、微熱や食欲不振を伴うことがあります。発熱後1~2日で口の中の痛み・発疹が出現します。発疹は手のひらや足の裏、おしりなどに出現し、痛みを伴うこともあります。
◎ヘルパンギーナ
乳幼児やこどもでよく見られる病気です。急な高熱と口の中にできる小さな水ぶくれ(口内炎)が特徴で、飲食のときに痛みます。口の中の水疱と潰瘍は、3~5日間ほど続きますが、通常は1週間以内に治ります。
「アデノウイルス」アデノウイルス感染症の代表的な疾患に、咽頭結膜熱(プール熱)があります。
◎咽頭結膜熱(プール熱)
プールでうつることが多かったためプール熱ともいいます。今はプールの感染予防・消毒が徹底されているため、プールでうつることは多くはありません。急な発熱、食欲不振、咽頭炎、結膜炎が主症状です。発病から改善まで1週間程度かかります。
夏かぜは基本的にはウイルス感染のため、特効薬はありません。治療は対症療法が中心で、発熱時の解熱剤や、口の痛みで食事がとりにくい時には冷たい飲み物やゼリーなどで水分・栄養補給を行います。乳幼児や高齢者では、脱水症状に注意が必要です。「おしっこの回数が少ない」「ぐったりしている」などのサインがあれば、早めに医療機関を受診しましょう。
夏かぜを防ぐためには、石けんを使って丁寧に手を洗うこと大切です。またタオルからも感染するので注意しましょう。エアコンの使いすぎで体が冷えると免疫力が下がりますので注意が必要です。
夏かぜは一見軽く見られがちですが、発熱や食欲不振でつらい症状が出ることもあります。お子さんやご高齢の方は特に注意が必要です。「いつもと違う症状だな」「長引いているな」と感じたら、お気軽に当院までご相談ください。
元気に夏を乗り切るためにも、日頃の体調管理と予防を心がけましょう。
2025-07-11 13:16:16