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きし内科クリニック通信2025年11月号(118号)【 痩せて糖尿病を治そう ~話題の新薬「マンジャロ」と、生活習慣の力~ 】

[2025.10.21]

【痩せて糖尿病を治そう ~話題の新薬「マンジャロ」と、生活習慣の力~】

きし内科クリニック院長の岸 雅人です。 きし内科クリニック通信 第118号を発行いたしました。
本号では、肥満を合併する糖尿病患者様へ、新たな週1回の自己注射治療の提案をおこないます。

最近急に冷え込む日が多くなってきました。それに伴い、当院ではインフルエンザやコロナの患者様が徐々に増加しています。市川市ではインフルエンザで学級閉鎖になった小学校も散見されています。インフルエンザワクチンの接種がまだの方は、速やかにインフルエンザワクチンを接種しましょう。また、高齢者の方は新型コロナワクチンの接種も併せて行いましょう。

さて本題に入ります。糖尿病は「一度かかると一生治らない病気」と思われがちですが、肥満を合併する糖尿病患者は、食事療法や運動療法により体重を減らすことで血糖値が大きく改善し、薬を減らすことができる人も少なくありません。最近では肥満を合併する糖尿病患者に対し、体重そのものを減らして高い確率で糖尿病を緩解(HbA1c 5.7以下)することができる治療薬が登場し、注目を集めています。その代表が「マンジャロ(チルゼパチド)」です。

マンジャロは週1回注射するタイプの薬で、食欲を自然に抑え、血糖値を安定させる作用があります。体内では「GIP」と「GLP-1」というホルモンが食後のインスリン分泌や満腹感に関わっていますが、マンジャロはこの2つのホルモンの働きを同時に高めることで、食欲を減らし、血糖を下げ、体脂肪を減らす効果を発揮します。臨床試験(SURPASS・SURMOUNTシリーズ)では、糖尿病のある方で平均約8〜12kg、肥満症の方では15〜20%の体重減少が報告されています(Frías JP et al. NEJM 2021; Jastreboff AM et al. NEJM 2022)。

内臓脂肪が増えると、インスリンの効きが悪く(=インスリン抵抗性)なります。これが2型糖尿病の根本原因のひとつです。脂肪を減らすことで体が再びインスリンに反応しやすくなり、結果的に血糖値も自然に下がっていきます。体重を5〜10%減らすだけでも、HbA1cが0.5〜1%改善し、血圧・中性脂肪・肝機能も良化します(日本糖尿病学会2024, Wing RR et al. Diabetes Care 2011)。

もちろん薬だけに頼らず、生活習慣を味方につけることも大切です。
マンジャロはあくまで「きっかけ」をつくる薬です。大切なのは、薬で整った食欲や代謝を維持する生活です。ゆっくりよく噛んで食べる、夜遅い食事を避ける、1日20〜30分の軽いウォーキング、しっかり睡眠をとる。これらの小さな積み重ねが、リバウンドを防ぎ、「薬がいらない体」へとつながります。

当院では、肥満(BMI25以上)を伴う2型糖尿病の方を対象に、医学的根拠に基づきマンジャロの処方を行っています。糖尿病のない方への「美容目的」での使用は、安全性の観点から行っておりません。

糖尿病治療の目的は「血糖値の数字を下げること」だけでなく、健康で長生きし、毎日をいきいきと過ごすことです。マンジャロは、そのサポート役として非常に有望な薬です。興味のある方は、お気軽に当院にご相談ください。体重や血糖の改善を通じて、より健康で快適な生活を目指しましょう。

参考・出典

1. Frías JP et al. N Engl J Med. 2021;385(6):503–515.
2. Jastreboff AM et al. N Engl J Med. 2022;387(3):205–216.
3. 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」
4. Wing RR et al. Diabetes Care. 2011;34(7):1481–1486.

2025-10-21 15:20:10

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